「ノックス・マシン」がこのミス1位の不可解さについて

 

ノックス・マシン

ノックス・マシン

 

個人的には好き。

 

個人的には好きだけれども。

 

このミス1位にしてはいけない。

 

ミステリ初心者が「このミステリーがすごい大賞」という

ことで手に取ったなら絶対に楽しめないので

ミステリ初心者の方にはお勧めしない。

 

ミステリ好きの方がメタミステリとして楽しむ類の作品である。

ミステリ好きならわかるよね。というクローズドサークルで楽しむ作品である。

そう、内輪受け。

 

大いに内輪受けする作品に大賞を与えて

本当にミステリ好きじゃないとわかんないんだよねこれは。

と含み笑いしつつミステリ初心者に喧嘩を売っているようなものだ。

 

とはいえ作者法月綸太郎さんには罪がありません。

むしろ初期作品からの法月ファンとしては

悩める推理作家法月さんがミステリで遊んでいらっしゃる…!!

と感慨深いものがある。

思えば遠くへきたものだ。

 

あなたの初期作品から滲み出る苦悩に

すっかり絡め取られて心酔していたあの頃。

 

名探偵法月綸太郎=作家法月綸太郎の苦しみが描く波紋の美しさと

本格ミステリとしてのアクロバティックなカタルシスの美しさが

奇跡のように融合していた初期作品。

 

時々読み返すも未だに震える、あの美しさには。